コンクリート伝票
2010年 01月 13日
「コンクリート伝表の読み方」です。
上の写真が実際の伝票です。
赤丸の部分を見ます。
私共が一番気にするのが、納入時間の発と着の時間と現在の時間です。
この伝票の時間を見ると、発の時間が12時36分、現場到着が12時50分ですから、14分で到着していることになります。準備を終え打設が始まったのは12時55分くらいです。
なぜ、この時間を見るのでしょうか?
コンクリートは、時間が経つと固まっていきますから、早く打設しないとダメなんです。打設というのは、コンクリートを流し込むことです。
時間が経ちすぎて流し込んでしまうと、硬化不良を起こす可能性があり、正しい強度が出ません。
ですから、生コン業者は現場の近くの生コン業者を使います。
ここは、14分で到着しているのですから問題ありません。早いです。しかもすぐ打設を始めましたから、問題ないのです。
では、時間はどの程度まで許されるでしょうか?
鉄筋コンクリート造の住宅金融公庫の仕様書では、気温が摂氏25度以上で90分、それ未満の気温で120分以内に打設完了を原則としています。
通常の住宅現場では、打設量が少ないのですが、マンションなど大きな現場で一日中掛かって打ち続ける場合などで、生コン車が何台も待っている状態の場合、注意が必要です。
また、住宅の場合でも、トラブルがあってかなりの手直しが必要になり、生コン車を待たせたままの状態が長いと、時間がオーバーする可能性もありますので注意が必要です。
そのため、配筋検査は必ず事前に行い、完全にしておくのです。早めに手配をしないといけない場合は、万一の手直しがあることを想定した上で、コンクリートの打設日時を決めておかないといけません。
その他の伝表の数字ですが、
納入容積 5㎥というのは、その生コン車に5㎥の生コンを積んできたということです。5,000リットルです。
累計 この車を入れて今までの生コンの数量の累計です。
呼び方 この行には、みなさんの関心の高い数字があります。
わかりやすく言うと、この生コンは、
普通ポルトランドセメントで、コンクリートの圧縮強度は
1平方センチメートル当り約270kgの強さで配合しました。
コンクリートの流動性は、スランプ18センチという値です。
中に入っている砂利の最大寸法は25ミリです。
という意味です。
気になるコンクリートの強度ですが、住宅の一般の基礎であれば180kg以上あればOKです。安全を見て、210kgとか240kgにしますが、温度補正を含め今回は270kg(呼び強度)です。コンクリートの強度が強ければ強いほど、セメント量の比率を増やします。
この伝票は、必ず打設の時もらいますので、毎回保存しております。
追記
すいません説明不足で・・・
弊社、松葉より補足説明です
普通⇒普通ポルトランドセメント
27⇒圧縮強度27N/mm2(270kg/cm2)
18⇒スランプが18cmの意味、打設時の軟らかさや流動性を表す指標
建築は複雑な形状の構造物が多いため軟らかいが
土木では8cmが一般的と固めを使用する
25⇒骨材径の最大が25mm
重力式擁壁のような単純でマッシブな構造物は40mmを使う
N⇒普通ポルトランドセメント
Hは早強ポルトランドセメント、BBは高炉セメントB種、NLは普通ポルトランドセメント(低アルカリ形)
気になるコンクリートの強度ですが、住宅の一般の基礎であれば18N/mm2以上あればOKです。安全を見て、21N/mm2や24N/mm2としますが、今回は、冷間時の打設として27N/mm2(呼び強度)としています。これは、枠組み壁工法住宅工事仕様書などにも規定されていますが、冷間時によるコンクリートの硬化反応にばらつきがあっても所定の設計強度が得られるように配慮して呼び強度の高いコンクリートを採用しています。コンクリートは、建設工事には古くからある建材ではありますが、一般建材とは異なり、化学反応を利用した建材ですから、その扱いはある意味特殊なものですね。
ちなみに土木では、無筋コンクリートならば、圧縮強度16or18を使いますが、有筋であれば以前は21、今は24が標準です。コスト的にも変らないと聞きました。結局、鉄筋との付着強度の問題もあり、高強度化していますね。付着強度は、圧縮強度の1/10が目安です。